天文書籍「星空」
"Der Sternhimmel"「星空」と題した一般向けの天文書籍ですが、まず装丁が素敵です。美しい緑の生地に彗星、天体望遠鏡が植物模様に囲まれてエンボスで表現され、金彩を施した手の込んだしつらえです。裏表紙に「蒸気製本」をする製本業者の名前がこれも型押しで記されていますから、この本は出版社とは別に、特に誂えて装丁されたものでしょう。蒸気の力で型押ししたのでしょうか。序文に1876年とありますからその頃の出版でしょうが、当時の人々の宇宙に対する憧れや畏敬の念が伝わってきます。
表紙を開くと幻想的なドナティ彗星のリトグラフが迎えてくれます。19世紀は彗星の世紀でしたが、1858年に現れたこの彗星は中でも最も美しい姿と賞賛されました。この本が出版されたライプチッヒは学術書籍の挿絵印刷でも定評のある町でしたが、この図版ももちろん当地で印刷されました。
他にも、幾何学を思わせるような図形や図版、月面図や天球図などがあります。このころは、まだ写真をそのまま掲載することはできませんでしたので、それらをもとに全て図版を作製しています。それがまた生き物のスケッチのようでもあり、宇宙に秘められた生命を感じるような不思議な世界へと誘われます。
ページをめくるたびに新たな発見があり、新しい冒険に出かけるような体験こそ、一冊の本を手にする喜びなのでしょう。
1876年頃、ドイツ、ライプチッヒで出版され、同じ頃に当地で製本されました。
サイズは約17.5×23.5センチ、厚さが約2.8センチです。
508、509ページに何かの切り抜きが挟まれていました。内容は不明ですがそのままにしてお届けします。
古いものですので傷みや汚れがあります。
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