引き込まれるような緑の瑪瑙がセットされた印章です。本来はここにインタリオ「沈み彫」を施して印章を完成させるのですが、こちらは何も彫られておりません。しかし、この瑪瑙のとびきりの美しさを目にすると、未刻でよかったとしか言いようがありません。みずみずしい緑がほんのりとグレーを帯びて深みを増した石は、森の奥にひっそりと佇む湖の静まりかえった水面を思わせます。
シルバーの台座は渦を巻く植物がモチーフで十分に光が入る意匠になっているため、光線の加減によっては瑪瑙そのものがぼんやりと光を含むようなニュアンスになります。その姿は、さらに深い水底を覗き込んでいるようです。
さて、美しい湖の深い水の底にはどのような秘密が隠されているのでしょう。

19世紀後半から20世紀初頭までのイギリス製です。刻印はありませんがシルバーは試験済みだとのことです。
サイズは瑪瑙が約1.3×1.1センチ、印章全体の高さが約1.8センチ、チェーンは現行品で長さが約44センチです。
古いものですので傷、汚れがあります。