細やかに彫られた植物が繊細な煌めきを宿しています。ハート形に飾り付けられた花々の前には飾り文字の"A"が刻まれたひし形の板が置かれ、優しく可憐な中にもどこか落ち着いた威厳を感じさせる美しさです。"A"はこのブローチのかつての持ち主のイニシャルですが、ハートとダイヤの組み合わせにも何か意味があるのでしょうか。そんなことを考えていると、このブローチが誂えられた19世紀のイギリス、ヴィクトリア朝の空気が漂ってくるようです。
純金に他の金属を混ぜてほんのりと黄色味を加えたものをイエローゴールドと呼びますが、それを貼り付けた金張りが、この威厳と華やかさを併せ持つ雰囲気を演出しています。純度は40%程度ですが、落ち着いた色彩と余計な光沢を落としてしっとりとした質感が素敵です。

サイズは約2.7×2.2センチです。
今回、別にご紹介している"AES"のイニシャル入りロケット、"AS"のブローチと同一の人が誂え、所有していたもののようです。
古いものですので歪みや傷、汚れがあります。