フリーメイソンの最も深遠な意義を秘めているとされる位階「ロイヤルアーチ」を管理するロッジで使われていたスタンプです。
フリーメイソンの階級を「位階」と訳します。メンバーになるには参入儀礼を受けて位階を獲得し、ロッジに所属しなければなりません。基本の位階は3つだけですが、さらに上位の位階が存在します。そのひとつが「ロイヤルアーチ」で、この位階の参入儀礼のクライマックスでは、究極の秘密とされている「神の御名」が明かされるのです。そのためこの位階は至高のステージ、フリーメイソンの真髄などと言われることもあります。
このスタンプには鷲の頭とともに "AVONMORE ROYAL ARCH CHAPTER" とあります。鷲は鳥類の帝王として上位位階で多く用いられ、CHAPTERはロイヤルアーチの位階を司るロッジのことで、ロッジと同じ意味と考えてよさそうです。AVONMOREは地名と思われますが、少し調べた範囲では、この名称のロイヤルアーチチャプターには行き当たりませんでした。
合わせた指輪には、護符である五芒星の上に聖杯や、石工術を再興したとされるヘルメスが手にする杖「カドゥケウス」らしきものが見えます。潰れて不明瞭な図形も多いのですが、彩色もフリーメイソンで最も重要視される青、ロイヤルアーチのシンボルカラーである赤、参入儀礼を現す緑、青と共通する意味を含む白、叡智を象徴する黄が選ばれており、この組み合わせは他のフリーメイソンのリングでも見られます。そのようなことから、少なくともフリーメイソンに繋がる品ではないかと考えております。
指輪のリング部分は10カラットの金を張った金張りで、トップは銀の純度92.5%のスターリングシルバーです。周囲におかれた小粒のペーストガラスが美しい煌めきを放ち、神秘的な意匠に神々しさを加えています。

製作年の詳細は不明ですが20世紀半ばごろまでのものと推測され、スタンプはもう少し古いかもしれません。
サイズは、スタンプが台も含めて約5.1×3センチ、指輪がトップが直径約1.4センチでリングは日本の規格で大体12号程度です。
古いものですので、どちらにも傷、汚れがあります。