古い旧約聖書
あちこちが傷み、扉や幾つかのページも失われて、それでもなお、そこにあるだけで不思議な気配を感じさせる聖書です。文章はドイツ語で、フラクトゥールと呼ばれる飾り文字のようなフォントで印刷されています。この書体はかつてのドイツでは日常的に用いられましたが、慣れないと読むのにはかなり苦労します。なんとか拾い読みしてみると「モーセ五書」から「ヨシュア記」「士師記」「サムエル記」と続きますので、どうやらこれは旧約聖書のようです。
この古い聖書に漂う濃厚な雰囲気は何でしょう。背表紙は遥か昔に黒いテープで補修され、縁は擦り切れ、小口はこの大著自体の重みで押しつぶされそうです。この朽ちる寸前のものだけが持つ造形と質感が、切迫した迫力を生むのでしょうか。いずれにしろ、時の流れだけが創ることのできる唯一無二のオブジェであることは間違いありません。どのような空間でも、それが置かれることで周囲の空気がほんの少し変わるのは、古いものならではの力だと思います。忘れ去られた仄暗い礼拝堂に漂う冷えた空気が、あなたの周りにもほんの一瞬、感じられるかもしれません。
見返しに1925年6月28日付の書き付けが貼られていますが、製作年はそれよりはかなり古いと思われます。大型の書籍ですので個人の所有ではなく教会などに置かれていたものではないでしょうか。主に冒頭部分にページの欠落がありますが、残されたページは一生懸命、綴じを補修した跡があります。中に封筒や印刷物が挟み込まれていましたが、それもそのままお届けします。
サイズは約17.5×25.7センチ、厚さが約6センチです。
前述の欠落の他、傷み、切れ、汚れがありますが、全てこの古いものの個性とご理解ください。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。