五月の空の義眼
春霞の青空はいつしか青さと鮮やかさを増し、その爽やかな光に満ちた色彩が夏の到来が近いことを我々に告げます。こちらの義眼も、光に満ちた鮮やかな群青という印象を我々に与えます。
しかし、よく見ると黒目の周りに薄紫が滲み、その外にうねる濃い青の筋に、白、淡い黄、薄紫などの細い線が混じることでその生き生きとした色彩を生み出していることに気がつきます。さらに、極めて透明度の高いガラスがたっぷりと光を含むことで、中に黒目が浮き、その下から色彩の筋が湧き出しているような奥行きのある景色を実現しているのです。
五月の空と光を切り取って封印したようなガラスの塊を、お手元でそっと覗いてみてはいかがでしょうか。
こちらのガラス義眼はドイツ、チューリンゲン州、ラウシャで製作されました。ラウシャは古くから優れたガラス工芸の町でしたが、19世紀にイタリアから義眼製作の技術が伝わり、19世紀の末までにはガラス義眼で有名になりました。今でもその技術を使って、カスタムのドールアイなどを製作しているそうです。
1920年代の製作とのことですが、実際にはもう少し古いかもしれません。
画像の黒い箱の1辺が約3.7センチです。お品物のサイズの参考にしてください。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。