"TROUSSE" は直訳すれば「用具入れ」ですが、特に学校などで使う文房具入れ、要するに筆箱、ペンケースを指すようです。蔓を伸ばしそこ此処に咲く薔薇の花に花蔦模様を絡めた意匠は、新品当時はさぞ華やかだったことでしょうが、それが長い時の流れで翳りを帯びた薔薇の古木のようになった姿は、またエレガントで素敵です。
今とは違い、19世紀のフランスですから木質の素材で出来ており、塗りの肌に古色が降った質感も古いものならではの特別な魅力と言えましょう。
"GESLOT" はお店の名前か何かで、どこかのノベルティグッズだったのかもしれません。今から百年以上前のフランスで、どのような人がこのペンケースを使っていたのでしょうか。想像の翼はどこまでも広がります。

19世紀中頃から後半のフランス製です。サイズは約12.8×4.8センチ、厚さが約3センチです。
古いものですので内外に欠けや傷、汚れがあり、ヒビも見られますがすぐに割れてしまうような状態ではありません。