黒い花のモーニングブローチ
花々が浮き彫りになった漆黒のブローチです。中央の大きな一輪とその周囲に咲き溢れる花々を細やかに彫り上げたデザインですが、黒く艶光りする素材の質感によって、その姿からは清らかで静謐な優雅さが漂います。それは、もともとは亡くなった方を偲んで身につける装飾品で、モーニングジュエリーとも呼ばれるものだからです。
19世紀のイギリス、ヴィクトリア朝の中頃に夫を無くした女王は、それから11年近くも喪に服し、自身だけでなく宮廷の者たちにも喪服の着用を命じました。そのため、華やかな宝石は影を潜め、変わって静謐な美しさを湛えたモーニングジュエリーが人々の間にも広まっていったのです。
このブローチのオリジナルのピンは取れてしまっていましたので、オリジナルシルバーの工房浮草さんに依頼して新たなピンをつけていただきました。裏面に欠損した際の跡が残っていますが、そこを見ると木質のようですので、ブローチの素材はボグオークと思われます。
ヴィクトリア朝のモーニングジュエリーは木が化石化したジェットを素材とするのですが、産出量が少ないため、代替品としてボグオークを使用しました。こちらもジェットほどではないのですが、オークが数千年かけて炭化した希少なものです。
メメント・モリも脳裏をよぎるヴィクトリア朝のエレガンスを身につけてご覧になってはいかがでしょうか。
19世紀後半のイギリス製で、サイズは約3.2×4.3センチです。
前述の通り裏面にもとのピンが取れた跡があり、古いものですので傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。