真珠貝で飾られたオペラグラスです。古色を帯びた真珠貝はほんのりと飴色がかっていますが、未だたっぷりと光を含み、特有の虹色の光沢を浮かべています。その姿は華やかで艶やかで、優雅な観劇の様子が浮かんできます。金属部分もしっとりと古色を帯びてよい風合いになり、上品で優雅な真珠貝を静かに引き立てています。
ケースは実際に持ち歩いたため内外に傷みがありますが、内張のブルーが往時の高貴な雰囲気をほのかに感じさせます。
さほど倍率は高くありませんが、当時のオペラを桟敷席から見る分には十分だったのでしょう。レンズに埃などの汚れがありますが、今でも実用できます。比較的近い距離でのバードウオッチングなどにいかがでしょう。
100年ほど前のヨーロッパで、この愛らしいオペラグラスはどんな貴婦人とどんな舞台を見て来たのでしょうね。

接眼レンズの周囲に「双眼鏡　ジュネーブ、レマン湖より」との記載がありますが、製作は19世紀から20世紀の初めの頃までのイタリアと推測されます。
サイズは、本体が最も縮めた状態で約4.5×9.8センチで、約9.8センチは本体の最大幅です。
古いものですので本体の真珠貝の貼り合わせにわずかな溝があり、オペラグラス、ケースともに傷、汚れがあります。