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手彩色木版画「死の舞踏 枢機卿」

どんな身分、どんな人生を送った人にも死は平等に訪れます。そんな、どんな生も死によって全ては無に帰するという死生観をもとに、死の恐怖に人々が踊り狂うという14世紀、フランスの詩から死の舞踏は生まれました。その後、舞台は絵画に移り、骸骨の姿をした「死」が様々な人々に訪れる場面が描かるようになりましたが、中でも、16世紀に活躍したハンス・ホルバインの木版画は人気を博し、版を重ねました。こちらは1832年にミュンヘンで製作されたその中の一枚で、花が咲き乱れ人々にかしずかれる枢機卿の元にも死が訪れる様子が描かれています。版は小さいですが、その表情、骸骨の不気味な造形、こちらまで漂ってくるような豊かな雰囲気は見事です。
14世紀から数百年に渡り、ヨーロッパでは戦役やペストの流行などで死は身近なものであり、メメント・モリ「死を想え」と死への備えをせよという教えにも関わらず、恐怖のあまりの集団ヒステリー的な死の舞踏は実際にあったようです。しかし、まもなくメメント・モリはカルぺ・ディエム「その日の花を摘め」と並んで語られるようになります。つまり「いずれ訪れる死を忘れることなく今を精一杯生きよ」となるわけです。
そんな人生の警句を秘めた一枚を、どうぞお手元に置いてみてはいかがでしょうか。

サイズは、版画の部分が約5×6.6センチ、用紙を含む全体が約10.2×17.2センチです。
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