中央に十字を配した金属製の襟留めです。十字架が4つ放射状に組み合わせられた意匠になっており、これは4人の伝道師を表すクロス・クロスレットかもしれません。さらに45度回転させるようにフルール・ド・リスも置かれ、こちらは聖母マリアを暗示しているのでしょう。よく見ると十字の中心に小さなマルタ十字もありますが、こちらは聖ヨハネ騎士団のシンボルですね。
幾重にも組み合わせられた図形の中に多くの意味が隠されていそうな、ちょっと不思議な襟留めです。そう考えてみると、彩られた金色もどこか神々しく感じられます。
この襟留めは "boucle de cape" と申しまして、コートやマント、ケープなどの襟に縫い付けてバックルとして使います。斜め四隅に環がありますので、そこに糸を通してお手持ちの衣装に縫い付けてお使い下さい。

19世紀から20世紀の初めの頃までのイギリス製です。サイズは1点の直径が約2.5センチ、ふたつを繋ぐチェーンが約74.5センチで、フックや環も含めると襟留めの間は最大約7センチになります。
古いものですのでフックや環、本体に歪みがあり、傷、汚れがあります。