アンティーク博物画「線虫など」
線虫など多様な生物が描かれていますが、「回虫」「フィラリア」「ジストマ」などが見られますので、寄生性の生物を集めた図版なのでしょう。これは18世紀から19世紀前半の博物学者、自然哲学者であったローレンツ・オーケンの著作の図像をのちにリトグラフで復刻したものです。著作は19世紀前半までに出版されましたから、復刻されたこの図版も今ではアンティークと言ってよいと思います。オリジナルとは違いますが、黒を背景としたデザインが少し怪しい雰囲気ですね。
中にはタコが生殖に使う腕であるヘクトコチルスも含まれています。これは19世紀初めの頃はタコに寄生する生物と思われていたのです。
オーケンは動物界をひとつの有機体と考えて有機界の統一を主張しましたが、これは、のちの細胞説を暗示したものとも言われています。近代科学が生まれ、しかし実証的な科学が確立する前の狭間の時代の雰囲気が漂うような一枚です。
19世紀末から20世紀の初めの頃までのドイツで製作されました。
サイズは約33.8×27.9センチです。
古いものですのでシミや傷、汚れがありますが、図像はお楽しみいただけます。綴じから外した跡もありますが、それらも含めて古いものの風合いとご理解いただければ幸いです。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。