精緻な毛並み、躍動する体躯、生き生きとした表情、全てに生命が宿っているような素晴らしい銅版画で、上がヒョウの雄、下がユキヒョウです。19世紀、フランスの図版で、身近に生息していない動物だけにかなり想像が混じる内容になっているところがかえって迫力があって興味深いですね。
まずは、両者の精悍な鋭い目つきが印象的ですが、これは群れを作らない孤高のハンターであり、狩猟者にとっては最も危険な獣のひとつとされていることから来ているのでしょう。ヒョウについてのエピソードは古代ローマから見られ、その姿は紋章にも使われているので、ヨーロッパの人々の古くからの畏敬の念もうかがえます。
銅版画のクールなモノトーンも魅力的で、余計なものを削ぎ落としたような表現からは、野生動物の張り詰めた気配や存在感が逆に色濃く漂っています。ユキヒョウと大型のヘビが遭遇することは稀だとは思いますが、ヒョウがニシキヘビに殺されることもあるそうなので、これも自然界の迫真の場面として描かれたのでしょう。
シンプルな額などで飾れば、お部屋にちょっと知的でユニークな雰囲気を与えてくれることでしょう。

19世紀、フランスで製作されました。サイズは約19.5×28.5センチです。
もとは博物書籍の1ページですので綴じの跡があり、傷や汚れもありますが、図像は十分お楽しみいただけます。