ステレオヴューワー
この箱は写真を拡大したり立体視する器具です。黒く塗られた木製の躯体に花の模様などの装飾が彫り込まれた重厚な仕上がりからもお分かりのように、これは安価な玩具などではなく裕福な大人の持ち物でした。
19世紀も終わりに近づく頃、紙にプリントされた写真が生まれ、それによって人物の姿や未知の国々の風景などをありありと目にすることができるようになりました。それをこのヴューワーの大きなレンズで拡大して見せることが出来、左右に画像を並べたステレオグラムという写真をセットして下の2つのレンズで覗くと立体像を見ることも出来るのです。
当時のステレオグラムには、とても行くことなど出来そうもない遠い国々の風俗などを紹介したものがあります。このヴューワーは畳むとコンパクトな箱に、広げると立派な姿が完成するという構造なので、持ち歩いては珍しい写真などを披露したのでしょう。これも19世紀の富裕層で流行した、世界の珍奇なものを集めた「驚異の部屋」の一環だったのかもしれません。
今回はステレオグラムも29枚おつけしますので、100年以上前の驚異の部屋の気分を味わってみてはいかがでしょう。もちろんオブジェとしても、とても雰囲気があって素敵です。
19世紀末から20世紀初めのイギリスないしはアメリカ合衆国製と推定されます。サイズは、畳んだ状態で約16.7×26.7センチ、厚さが約7センチです。
大きなレンズの縁に欠けがあり、そのためレンズの外縁と枠に一部隙間が見られますが、すぐに取れてしまう状態ではありません。また、古いものですのでレンズ、躯体ともに傷、汚れがあり、蝶番に修理の跡があります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。