博物画「猫」
版画に手彩色の猫の図版です。彩色による毛並みの表現、その表情や生き生きとした造形など、主人公の猫にスポットがあたるように描かれた繊細で見事な仕上がりです。そして、周囲の描写はトーンを落として控えめながら、実に丁寧に描き込んであり、当時のその場の雰囲気まで豊かに伝わってきます。
一般向けの博物学書籍の挿絵ですが、カラー写真などなかった時代に知識を啓蒙し画像を共有しようという熱意、一般の人たちの科学に対する強い興味関心が滲む一枚です。ところで、上が「飼い猫」、下が「アンゴラ」なのですが、飼い猫と言う種類はないので、この並びは一体何を言おうとしているのか、今となっては謎としか言いようがありません。
科学が専門家から一般の人の手に渡り始めた黎明期、それにまつわる様々な謎も当時の博物画の楽しみのひとつなのかもしれません。
19世紀のフランス、パリで製作されました。サイズは約16.5×27センチです。
古いものですので皺やシミ、汚れがありますが、画像は十分にお楽しみいただけます。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。