こちらは海の生き物といっても比較的浅い所にいる軟体動物ですね。その深い色彩、たくさんいるのにごちゃごちゃしていない、むしろ夢で見た世界のようなデザインや造形など、どれをとっても素敵です。
これは多色刷りが可能となったクロモリトグラフで印刷されたもので、ドイツのブロックハウス百科事典の挿絵です。実物を撮影した動画など夢にも思わなかった時代に、水中の生物をどのように表現するのか、その苦心の結果がこのような幻想的な美しさを湛えた図版になったのでしょう。
科学が専門家から一般の人々の手に渡ろうとしていた時代に知識を啓蒙しようという熱意、一般の人々の科学への強い興味関心が伝わってくるような一枚です。

1900年頃、ドイツ、ライプツィヒにて製作されました。サイズは約15.9×24.9センチです。
古いものですので傷、汚れがありますが、図版は十分お楽しみいただけます。