優しい表情に溢れた聖母子像のホーリーカードです。周囲に施された見事な切り紙細工はカニヴェと言います。こちらも溢れるように花が飾られていますが、ユリなどマリア様に因んだ花々が見えます。ホーリーカードは聖堂や修道院などを巡礼した際に記念に求めるものですが、特にカニヴェは修道女などが製作、販売して運営費などにあてました。まるで花々の中に靄とともに出現した幻のような、どこか幻想的で神々しい姿のカードです。
合わせたものは、銀色の燃える心臓のエクスヴォートです。エクスヴォートは教会で願掛けをし、その願い事がかなった時に奉納するものです。心臓はイエス・キリストや聖母マリアの愛の象徴で、教会に行くとたくさんのエクスヴォートが壁に掛けられている様を目にすることがあります。こちらのお品は上部にある穴に釘などを刺して壁に飾ったのでしょう。
このエクスヴォートは少し大振りですが、その穴を利用してペンダントに仕立ててもよいかもしれませんし、重量は軽いものですので壁にかけてもよいと思います。お願いが成就したお礼の品ですから縁起のよいもので、幸運のおすそ分けがあることでしょう。身につける際は金属の角に十分ご注意ください。

エクスヴォートは20世紀半ばまでのアメリカ合衆国製で、サイズは約4.5×6.5センチです。
ホーリーカードはそれよりもやや古いフランス製で、サイズは約6.5×10センチです。裏面に何か手書きで記した跡があります。
どちらも古いものですので傷、汚れ、しみがあります。