書籍「ソロモン王と追随する者たち」
これは、ひとことで言うとフリーメイソンの公式マニュアルです。不思議な暗号で書かれている謎めいた本ですが、順にご説明いたしましょう。
フリーメイソン組織の最も基本となる活動拠点を "blue lodge"「青ロッジ」と言います。ここでの定期会合では、参入儀礼の他に討論や業務処理が行われます。ご存知のように、その内容は一切外には出ませんが、そうすると困ったことが起こりました。例えば、ロンドングランドロッジで行われた式次第や説示をアメリカ合衆国の各青ロッジが踏襲しようとしても、詳細な情報が手に入らなかったのです。そこでメイソンたちは18世紀当時から世に出ていた暴露本を参考にする始末でした。本書の巻末でも、それがニューヨークやシカゴで大量に出版され、正しい儀式を損なってしまうと嘆いています。そこで刊行されたのが本書というわけです。
こちらには青ロッジで授与される基本三位階、棟梁メイソン"MM"、同輩職人"FC"、入門徒弟"EA"が会合でそれぞれ行う通常業務について記されているようです。冒頭は英語なのですが、門外不出の内容なのですぐに暗号文になってしまいます。巻末によれば、メイソンにとってはわかりやすく書かれているとありますから、さすが秘密結社の面目躍如たる一冊です。書名は、ソロモン神殿造営の大棟梁ソロモンとそれに従事した伝説の技術者ヒラム・アビフに因むものでしょう。
本書の96~97ページにメイソンの会員証と思われるものが2枚挟まれていましたので、そのままにしてお届けします。これは1926年から1928年にかけてのモーニングスターロッジのもので、このロッジは1793年にアメリカ合衆国、マサチューセッツ州ウースターに設立され、今も存在しています。
各ロッジの役員たちの業務を円滑に進める一助にと記された、秘密結社をとてもリアルに感じられるこの希少なお品をどうぞお手元でお楽しみください。
1921年、ニューヨークにて出版されました。サイズは約9×13センチ、厚さは約1.7センチです。
役員が備忘として持ち歩くためにコンパクトに作られており、実際にかなり参照されたようで、表紙、中身ともに切れや折れなど傷みがあります。綴じも離れている箇所がありますが、ページの欠損はありません。