静謐の義眼
ある冬の日の夕暮れ、うっすらと雪雲のかかった空は乳白のブルーグレーです。これはまさにそんな色彩の義眼です。まだ明るい空に光の粒子が踊っているような、清々しく柔らかな淡い青を背景に、黒目からこれも淡い黄色が滲んで、こちらは残照でしょうか。光彩の外縁は黒みを増した藍色の環で、こちらは間も無く訪れる闇の先触れかもしれません。
風も止み、先ほどまで聞こえていた鳥の声も今はなく、今日の最後の青空が美しさを見せる静謐な一瞬を、光とともに透き通るガラスに封じ込めたような一品です。
こちらのガラス義眼はドイツ、チューリンゲン州、ラウシャで製作されました。ラウシャは古くから優れたガラス工芸の町でしたが、19世紀にイタリアから義眼製作の技術が伝わり、19世紀の末までにはガラス義眼で有名になりました。今でもその技術を使って、カスタムのドールアイなどを製作しているそうです。
1920年代の製作とのことですが、実際にはもう少し古いかもしれません。
画像の黒い箱の1辺が約3.7センチです。お品物のサイズの参考にしてください。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。