ゴージャスな金色の観劇用イヴニングバッグです。オペラグラスもゴールド、内張の布は艶のある茶がかったベージュで、華やかな一夜に相応しいしつらえです。バッグの革もオペラグラスも表面に線を刷いたようにして繊細な模様を浮かび上がらせた上品な質感ですから、柔らかなベージュのドレスなどお召しになれば、エレガントなアクセントになること請け合いです。
イヴニングバッグは小振りでなくてはなりませんが、こちらは、お化粧直しの小さな鏡、チップ用のコインパースも納められて、コンパクトに準備万端整った便利グッズでもあります。
オペラグラスの倍率はとても控えめで、それだけに見たいものを捉えやすくレンズは明るいのです。少し離れた人の表情などをよく見たい時には便利なので、舞台の俳優さんだけでなく客席のどなたか、はたまたお芝居の後のお食事で離れた席にいるどなたかをこっそりというようなこともあったのかもしれません。もちろん、現代ではそのような行為は厳に慎まなければなりませんが、かつての社交の世界へと思わず想像の翼を広げてしまうような一品です。

バッグ内にセットされたオペラグラスは、ガタつかないように本体を少し伸ばした状態になっています。取り出す際には、中央の黒いダイヤルを回して、本体を最も短くしてください。

サイズは、バッグが約10.6×12センチ、オペラグラスの横幅が最大約8.5センチです。
イギリス製で、製作年の詳細は不明ですが、1920年代から30年代のアール・デコか、少なくとも20世紀前半までのものと思われます。
古いものですのでシルクの繊維が出てきている箇所があり、他に傷、汚れがあります。