虹彩外縁の黒みを帯びたブルーは冷え冷えとした薄暗がり、それが次第に薄れて黒目の周りにはくすんだオレンジの温かい明かりが灯る。たっぷりと光を含む澄んだガラスの塊の中で、明暗、温冷をここまで際立たせて美しく表現できるのかと驚くような義眼です。
澄んだ光の翳りに湧き上がるような薄闇は美しく、その向こうに滲む灯火もまた美しい。そんな一瞬を切り取ったような景色のお品です。

こちらのガラス義眼はドイツ、チューリンゲン州、ラウシャで製作されました。ラウシャは古くから優れたガラス工芸の町でしたが、19世紀にイタリアから義眼製作の技術が伝わり、19世紀の末までにはガラス義眼で有名になりました。今でもその技術を使って、カスタムのドールアイなどを製作しているそうです。
1920年代の製作とのことですが、実際にはもう少し古いかもしれません。
画像の黒い箱の1辺が約3.7センチです。お品物のサイズの参考にしてください。