長い夜を待つ義眼
夏が去り、肌寒さを感じる頃になると、あの暑さがほんの少し恋しくなります。昼は短くなり、長い夜を待つ逢魔時、薄暗がりに灯が揺れます。
くすんだ青灰色を背景に赤みを帯びた黄色を合わせた、不思議な色彩の義眼です。虹彩に筋がばらばらに踊るのではなく、明かりが滲むように4箇所にまとまり、黒目の周りには白みを帯びたグリーンが浸み出しています。
透き通るガラスの塊の中に冷えた薄闇があり、そこに温かい明かりが灯る。黄昏時の街を美しく光で表現したような義眼です。
こちらのガラス義眼はドイツ、チューリンゲン州、ラウシャで製作されました。ラウシャは古くから優れたガラス工芸の町でしたが、19世紀にイタリアから義眼製作の技術が伝わり、19世紀の末までにはガラス義眼で有名になりました。今でもその技術を使って、カスタムのドールアイなどを製作しているそうです。
1920年代の製作とのことですが、実際にはもう少し古いかもしれません。
画像の黒い箱の1辺が約3.7センチです。お品物のサイズの参考にしてください。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。