銀のメカニカルペンシル
とても繊細な銀のメカニカルペンシルです。19世紀末、ヴィクトリア朝の終わりの頃、備忘としてちょっと書き留めておきたい時などにさっと使える筆記用具はとても便利で、しかもそれがこのようなペンシルだったら、とてもおしゃれなアイテムだったことでしょう。滑り止めも兼ねた細かな刻みが施されており、一筋走る銀の光のようなシンプルながら美しいフォルムです。銀の純度が92.5%以上のスターリングシルバーが穏やかな輝きを残し、この落ち着いた使用感も素敵ですね。
シャーロック・ホームズもシャツの袖に何事か書き留め、また「ワトソン、書き留めておいてくれよ。」と声をかければ、彼も慌てて備忘録を取り出すのですが、あの時使った手の中に隠れそうな短い筆記用具はこれだったのかもしれません。あるいは貴婦人が綺麗な手帳とともにこのペンシルを取り出し、走り書きした1頁をぴっと破り、傍の小間使いに「これをあの紳士に渡してちょうだい。人目につかないようにね。」と囁いたのでしょうか。
先端からごく短い芯を入れて、刻みのある本体部分をくるくる回して芯を出し入れします。このお品には買い付け時から短い芯が入っておりました。ひょっとしたらオリジナルかそれに近いものかもしれませんので、そのままお届けします。
ただ、この時代のものに合う太さの替え芯を探すのはなかなか難しく、私どもは入手できませんでした。大きな文房具店でお探しになるか、若干太いものをサンドペーパーで削ってご使用ください。
1900年、ヴィクトリア女王が亡くなる前の年にイギリス、バーミンガムのオフィスで銀の検定を受け、ホールマークが刻印されております。製作は当地の銀細工工房 F&W Ltd.です。
サイズは長さが約7.5センチです。
古いものですので傷、汚れがあります。