宝石商の天秤
真鍮と木材がよい風合いの秤です。引き出しには紫のベルベットが張られており、丁寧に造られたことが窺えます。取っ手を引き下げると天板に降りていた天秤が持ち上がり重量の計測ができる仕組みですが、このメカニズムも素敵ですね。
もうひとつ、このお品の特筆すべき点は重りが残っているということです。全て残存しているかどうかはわかりませんが、グラム単位で10、5、2、2、1 と計5個、ミリグラム単位では200、100、50、20、10 と計5個があります。10ミリグラムの切片は打刻がはっきりしないのですが、ミリグラムまで計測するものですので、宝飾用の秤だったのではないでしょうか。古い秤を手に入れても重りは失われていることが多い中で、こちらは比較的よい状態のものが残されています。
ミリグラム単位の重りは画像右の黒いケースに入っていますが、このケースは無くならないように売り主が後でつけたものです。
ギリシャ神話の正義の女神テミスに見られるように、天秤はそのフォルム自体も象徴的ですが、真鍮の鈍い艶、古色を帯びて落ち着いた木材の佇まい、引き出しに貼られたベルベットの深い紫と、どれを取っても気品のある美しさが感じられます。
20世紀の初めの頃までのイギリス製です。サイズは、台座部分が約21.5×9.5センチ、高さが約20.5センチです。
現在、正確な重量の計測ができるかどうかは確認しておりません。また、古いものですので傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。