懐かしい大切なものの義眼
優しさと郷愁とがないまぜになったような印象の義眼です。黒目から蜂蜜色が滲み、その周りは、その蜂蜜色を背景に青、紺、白などの細い線が無数に広がり、やがてほんのりと紫を帯びて外縁の灰青の環へと吸い込まれて行きます。その虹彩は本当に細やかな仕上がりで、とても柔らかい毛並みのようでもあり、その放射状の造形を見ていると、その手触りさえ感じられるようです。それは、子供の頃に好きだったもの、大切にしていたものの懐かしい手触りなのかもしれません。
さて、ここからは少し突飛なお話しになります。その大切なものがぬいぐるみなどであれば、当然、その眼を思い出されることでしょう。しかし、それが毛布や衣服など眼を持たないものだったとしても、そういうものたちにもし眼差しがあったならば、それはこういう眼だったかもしれません。
その眼差しを見ていると、いつの間にか懐かしい想い出がその手触りまで蘇る。そんな記憶を遡る旅へとあなたを誘う、不思議な美しさを持つ義眼です。
こちらのガラス義眼はドイツ、チューリンゲン州、ラウシャで製作されました。ラウシャは古くから優れたガラス工芸の町でしたが、19世紀にイタリアから義眼製作の技術が伝わり、19世紀の末までにはガラス義眼で有名になりました。今でもその技術を使って、カスタムのドールアイなどを製作しているそうです。
1920年代の製作とのことですが、実際にはもう少し古いものかもしれません。
画像の黒い箱の1辺が約3.7センチです。お品物のサイズの参考にしてください。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。