透明な粒がほんのりと菫色に染まったようなビーズのロザリオです。ロザリオは聖母マリアに祈りを捧げる時に使うものですが、この上品で優しい姿はマリア様に相応しい佇まいです。
金属のクロスは小振りですが十字架上のイエス像に雰囲気があり、降り積もる古色でさらによい質感になっています。クロスとチェーンを繋ぐプレートにはアヴェ・マリアを表すAMのモノグラムが浮き彫りにされ、こちらも黒みを帯びて陰影を増した姿が素敵です。
実は、このお品のクロスとチェーンを繋ぐ部分の5個のビーズのうちの中央のひとつに、ビーズを取り替えて補修した跡があります。そこには、ひとつだけ他と違う丸いビーズがついていますが、光の加減で表面に薄く虹色のような光沢を浮かべます。少し不思議な表情の粒で、このロザリオのユニークなアクセントになっているのですが、とりあえず修復されているということで、お買い得なお値段にさせていただきました。古いものの長い人生に起こった事件の痕跡とご理解ください。

20世紀の初めの頃までのフランス製です。サイズは、クロスが約1.8×3センチ、チェーンの長さが約64センチ、クロスとチェーンを繋ぐ部分が約11センチです。
ロザリオは本来、首から下げるものではないため、チェーンを切り離す環がついておりませんのでご注意ください。
古いものですので前述の修復の他にも傷、汚れがあります。