ブロンズ製のトンボの置物です。実物のオニヤンマや、人間の手の平よりは小さいサイズですが、見た目よりも重量感があります。羽は虫と言うよりは鳥の羽を連想するような筋が彫られ、尾にも細かな模様が入っています。頭部は細密というよりも特徴をよく捉えた力強い造形です。実際のトンボをリアルに再現した姿ではないのですが、見ているとやはりトンボ以外の何ものでもなく、私たちが抱くこの昆虫のイメージを金属に投影したものと言えます。ブロンズに古色が降り積もり、深い影と鈍い艶をまとう姿を見ていると、ファンタジーとリアリティーが融合した不思議な世界に誘われるようです。

製作年、製作地の詳細は不明ですが、20世紀前半までに欧州で作られたものと推測されます。
サイズは、羽の両端の間が直線で約9センチ、頭部から尾部の端までが直線で約5.5センチです。
脚が2本欠損していますが自立は可能です。また、傷、汚れがあります。
夏から秋にかけて空に舞うトンボ達。これまで見てきた過去の毎年の夏や秋の記憶、その中からまるでやってきたかのうな古めかしくどこか懐かしいトンボです。