銀色に輝くイエス・キリストの聖心が描かれたデスカードです。茨の冠をいただき血を流す燃える心臓は、キリストの受難と人々への愛を表します。美しく光を放って聖なる威厳を感じさせる聖心は、臨終に際して罪の許しと祝福を願う祈りなのでしょう。また、周囲に飾られた時計草は十字架にかけられたキリストを象徴する花です。このようにキリストの受難に亡くなられた人を重ねて哀悼の意を表し、同時にその愛にすがって冥福を祈るという、遺された人々の心情を雄弁に物語るカードです。
合わせた十字架は、キリスト像の周囲に渦巻き状の装飾が施されたものです。長い年月が降り積もると、それぞれのものに固有の表情や雰囲気が生まれますが、このクロスもまさにそういった豊かな表情をまとったお品です。もはや金属の冷たさを超越して、何か不思議な生命感を宿すと言っては言い過ぎでしょうか。
受難と祝福が感じられるような、哀しみとその先にある暖かさを感じさせるセットです。

デスカードはフューネラルホーリーカードとも呼ばれ、お葬式で参列した方々に配られるカードです。本来、裏面に亡くなった方のお名前などが印刷されるのですが、このカードにはそれがなく、印刷前の見本かデッドストックで、19世紀から20世紀初頭までのフランス製と思われます。
合わせた十字架もほぼ同年代のフランス製です。
サイズは、カードが約7.1×11センチ、十字架は約3×5センチ、チェーンは現行品で長さが約41センチです。
どちらも古いものですので傷、汚れがあります。