あたたかな土の義眼
肥沃な土は柔らかく、あたたかく、優しく生命を育みます。こちらの義眼のかすかにグリーンを感じさせる柔らかな茶色を見ていると、ふとそのようなことを考えてしまいます。
黒目からアンバーが滲み出し、くすんだ茶色へと移るのですが、そこにほのかなグリーンが靄のように漂っている気がするのです。それはごく薄い青、白、黄の繊細な筋が渦を巻いて踊っているからなのでしょう。それが澄んだガラスの中で溶け合って光の靄のように立つのかもしれません。このように澄み切ったガラスの塊の中で、光と色彩が戯れているような曖昧で微妙なニュアンスが、この義眼の大きな特徴です。
外縁は白みを帯びたグリーンのごく細い縁取りになっています。
こちらのガラス義眼はドイツ、チューリンゲン州、ラウシャの "Theodor Müller-Hipper" の手によるもので、その商標にはチューリンゲン州の「最高品質認定」の記載があります。ラウシャは古くから優れたガラス工芸の町でしたが、19世紀にイタリアから義眼製作の技術が伝わり、19世紀の末までにはガラス義眼で有名になりました。今でもその技術を使って、カスタムのドールアイなどを製作しているそうです。
売り主によれば、両親が営んでいた眼鏡店に由来するものだそうで、少なくとも1945年以前の製作とのことですが、実際にはもう少し古いものと思われます。
画像の黒い箱の1辺が約3.7センチです。お品物のサイズの参考にしてください。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。