アメジスト色のガラスを数々、巧みに組み合わせたブローチです。19世紀、ペーストなどとと呼ばれたガラスは美しく進化し、高貴な人たちのイブニングドレスを飾るまでになりました。
上に置かれた横長のものは綺麗にカットされ、落ち着いた深い紫色を湛えています。その下、左右に揺らめいているふたつは、透き通った質感で動きとともに鋭い煌めきを放ち、上の深みのある紫とはまさに静と動の素敵な対比を見せています。
そして中央の楕円は背部を半透明にすることで艶やかで柔らかな質感を出し、そこに浮き彫りにされた花々は瑞々しさと優しさを表現しています。
古色を帯びた台座が描く曲線、9粒配置されたシードパールの柔らかな白い光が生命を感じさせ、一番下に揺れるバロックパールの自由なフォルムがその生命の躍動を決定的にしています。
この数センチの世界で繰り広げられる様々な光、質感、表情、感覚、イメージの饗宴を心ゆくまでご覧いただき、そしてそれらが語る物語にどうぞ耳を傾けてください。

1900年頃、アール・ヌーヴォーの時代のフランス製です。サイズは、横幅の最大が約7.5センチ、縦の最大が約6センチです。
花の浮き彫りに小さな傷があり、古いものですので他にも傷、汚れがあります。