ヴィクトリア朝、イギリスのゼリーモールドです。つまりはゼリー型なのですが、今では金属や樹脂製が多いので、このぼってりとしたオフホワイトの陶器からもヴィクトリアンの台所の雰囲気がしてきますね。
こちらはパイナップルの型です。実はパイナップルは15世紀に西インド諸島からコロンブスがスペインに持ち帰りました。スペイン王はこれがいたく気に入り、やがて周辺の国にも伝わりました。もちろん極めて希少な果物でしたが、イギリスは園芸好きなこともあり、温室栽培に精を出し、18世紀には貴族お抱えの庭師が栽培法の専門書を出版するまでになりました。このような次第でパイナップルは王様の果物とされ、19世紀の王侯貴族に珍重され、イギリス国王の戴冠式の晩餐にも供されたのです。ついでにテニスのウインブルドン選手権のトロフィーをご覧ください。上にちょこんとパイナップルが乗っていますが、これも王者の果実だからです。
あなたも古いモールドで、あなただけの王様のゼリーを作ってはいかがでしょう。もちろん、ゼリーと言っても甘いお菓子だけではなく、コンソメなどを使ったゼリー寄せもありますから、古今東西の料理に挑戦してみてもよいですね。

イギリスの陶器の町として知られるストーク・オン・トレントで1833年に創業した Copeland社で
19世紀後半に製作されました。サイズは、開口部が約7.5×10.9センチで、高さが約5センチです。
古いものですので小さな欠けや傷、汚れがあります。