白い靄のロザリオ
まるで霧が凝り固まったようなビーズのロザリオです。その多面体のビーズは、向こうが見えるようで見えない、まるで夢に出て来るような曖昧な透明感と、もやもやと動いていたものがそのまま固まったような、ぼんやりしているのに硬質な不思議な質感とが同時に存在する、とても幻想的な姿です。
クロスはキリスト像の片腕が欠損していますが、とても雰囲気があり、フルール・ド・リスをモチーフにした手の込んだ透かし細工は聖母マリアを象徴していると思われます。クロスとチェーンを繋ぐプレートはアヴェ・マリアを表すAとMを組み合わせたとても優美なモノグラムになっています。
金属部分の全てが古色を帯びて黒みを増し、陰影を深めた佇まいが古い聖堂のような重厚な雰囲気を漂わせています。
『遥か向こうで立った霧がこちらに向かって来る。そして、いつしか私は霧に巻かれていた。細かい水滴が頰に触れる。その時、足元でポトリ、ポトリと音がした。見るとそこには靄がそのまま封印された多面体がいくつも落ちていた。霧を通してくる淡い光がそれぞれの粒に宿ってほんのりと虹色に染まった。』 (ただの作り話 その6)
長い時の流れが生み出す光と陰のクロス、そして夢幻のようなビーズが織りなす世界をどうぞお手元でご覧ください。
20世紀初めの頃までのフランス製。サイズは、クロスが約3×5センチ、チェーンが長さ約76センチで、クロスとチェーンを繋ぐ部分が約13.5センチです。
古いものですので、前述の欠損の他、傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。