世界の様々な女神や妖精を豊富な手彩色図版で紹介した書籍で、"Muses et Fees"「女神と妖精」とタイトルがつけられています。
図版とデザインはピエール・グスターヴ・スタールの手によるもので、彼は19世紀、フランスで活躍したイラストレーターでリトグラファーでした。アーティストでもあった彼の精緻で絵画的なリトグラフは、素晴らしい造形と表情、躍動感に満ち溢れています。また、頰や唇に点す紅、可憐で清楚な花々、立ち昇る靄や煙、幻想的な湖水や草木、薄く透ける布や水など、人物から背景に至るまで、素晴らしい技巧で施された手彩色の豊かな表現も目を見張るものがあります。
"Histoire des Femmes Mythologiques"「神話の女性史」というテキストはジョセフ・メリーとフォエリックス伯爵によるものです。
美しい手彩色リトグラフは12点、これをお供に神話の世界を彷徨う旅を心ゆくまでお楽しみください。

この本には出版年などの記載がありませんが、別の資料に、スタールは1851年に神話の女性史の挿絵を描いたとの記録がありますので、この頃のパリでの出版と思われます。
サイズは約18.5×27.5センチ、厚さは約3センチです。
古いものですので内外に傷やしみ、汚れがあります。