クリアなガラスのインクウエル
ふたつのインク壺のあるクリアなガラスのインクウエルです。19世紀、あちこちの事務机にこれが置かれていました。ロンドン警視庁の警部補のデスクにも、医者、弁護士、もちろん気取ったお金持ちはもっと凝ったものを置いたでしょうが、そんなお屋敷の秘書の机上にもこんな実用的なインクウエルがありました。そして世紀が改まる頃、万年筆やメカニカルペンシルが生まれ、この老兵は誰にも気づかれることなく、いつの間にやら退場して行きました。
シンプルですが決してモダンではない、さりげなくペンを3本置くことのできる実用性を持ちつつ曲線を多用したどこかレトロなデザインはとても素敵です。ちなみにインク壺がふたつあるのは黒と赤のインクを入れるためで、これも便利だったことでしょう。ガラスに金属というインダストリアルな取り合わせも時代の空気を感じさせて、このようなインクウエルこそが、19世紀、ヴィクトリア朝を語るに相応しい名脇役だと言えると思います。
さて、それから100年以上経った21世紀のデスクトップに古いものをひとつ置いて、どうぞ周囲の空気感をほんの少し変えてみてください。古いものにはそんな力もあるかもしれません。
19世紀、ヴィクトリア朝の時代のイギリス製で、サイズは底面が約14センチ×7.5センチです。
古いものですのでインク壺の開口部の金属に錆がありますが、蓋はきちんと閉まります。また、全体に傷や汚れがあります。ガラス表面に何箇所か筋がありますが、それは出荷時からのものと思われます。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。