ろうそくを持つ少女のドレスは白い布、背後の切り絵細工も大変見事なホーリーカードです。版画に手彩色の絵を貼り付け、丁寧に再現した光景は初聖体拝領のものです。愛らしい少女の姿が浮かび上がり、なんだか動き出しそうな不思議な雰囲気があります。裏に手書きの文字で1867年とありますので、この年に聖体拝領を受けた記念のカードでしょう。
合わせたメダルは、冠をいただく聖母マリアと幼子イエス、その足元には天使が精緻な浮き彫りで表されています。周囲の文字から、パリの南方クレルモン＝フェランにある被昇天聖母大聖堂のものと思われます。クレルモンは古くからスペインへの巡礼路上にあり、聖母巡礼でこの大聖堂を訪れた記念なのでしょう。
裏面には燃える心臓を示すイエス・キリストが、こちらも表情豊かに浮き彫りにされ、聖体の秘跡兄弟会との文字が見られます。
これらから、この団体がクレルモンの大聖堂を巡礼した際のメダルと考えられます。その手の込んだ造りから、とても大切な記念の品だったことが偲ばれます。リボンがつけられていますが、この青と白はマリア様の色でしょう。

ホーリーカードは1867年頃のフランス製、メダルはほぼ同時代かもう少し新しいフランス製と思われます。
サイズは、カードが約7×11.3センチ、メダルがリボンを含まずに約2.3×3.2センチです。
古いものですのでカードに切れや折れがあり、両方とも傷や汚れがあります。