ホーリーカード「十字架の道行き」
ブックレット型のホーリーカードで、題名は「十字架の道行き」と申します。十字架の道行きは、イエスの受難を捕縛から十字架に架けられ復活するまでの15の場面に分けてそれぞれに祈りを捧げるキリスト教の儀式で、中世末期から行われてきました。聖地巡礼では、実際にその場所で祈りを捧げるのですが、現地に行くことができない場合は聖堂に掲げられた14の聖画に祈りを捧げ、最後の復活は聖画ではなく祭壇に祈りました。
このホーリーカードもその作法に則り、14の図版が小さいながらも表情豊かに描かれています。そして最後の扉を開くと、彼の受難に込められた全ての思いを表現するような、イエス・キリストの受難を象徴する絵が現れます。小さなカードのブックレットに、このような中によくぞと言いたくなるような世界があります。もともと、この儀式はエルサレム巡礼への願望から生まれたもので、このホーリーカードも大切な意味のあるものだったのでしょう。
周囲の繊細なレース状の紙の細工はカニヴェと呼ばれ、修道院などで作られました。絵や文字の周りに施された蔦の意匠も手が込んでおり、美しいカードになっています。
裏に手書きの文字と1878年4月10日と思われる日付が見られます。140年以上前のこの日、かつての持ち主が何かの記念にこのカードを求めたのでしょう。ちなみに1878年の復活祭は4月23日ですので、その準備をする期間であったこの日に、この人もイエスの復活を祝うためにこのカードを用意したのかもしれません。こんな風に推理してみるのも、古いものを手にする特権ですね。
19世紀、多分1870年代のフランス製で、サイズは約8×12.5センチです。
古いものですので傷、汚れがありますが、時代の割りにはよい状態です。
こちらはクリスマスセールの割り引きの対象外ですのでご注意ください。