爽やかなアクアブルーのガラスビーズを使ったロザリオです。艶やかで透明感のあるガラスは細かいカットを施され、瑞々しく光を含みながら角度によって美しく煌めきを放ちます。ロザリオは本来、聖母マリアに祈りを捧げる際のものですが、このブルーはマリア様の色でもあります。
クロスはシルバーと思われますが、裏面にも装飾を施した手の込んだもので、程よく古色を帯びた鈍い艶をまとい、存在感のある佇まいです。また、クロスとチェーンを繋ぐプレートも、「アヴェ・マリア」を表すAとMが組み合わさったモノグラムにアカンサスの葉をあしらい、細かいところまで気を配った造りになっています。
さらに、このロザリオには、かつての持ち主によって3枚のメダルがつけられました。
1枚目は聖ジュヌヴィエーブで、裏面には彼女の墓所が浮き彫りにされています。聖ジュヌヴィエーブは5世紀から6世紀の修道女で、度重なる外敵の来襲からパリを救い、パリの守護聖人となりました。異教徒であったフランク王の王子はキリスト教徒になり、教会を建てますが、そこは聖ジュヌヴィエーブ教会となり、現在のパリのパンテオンがそれにあたります。
2枚目はリエスの聖母あるいは歓喜の聖母と呼ばれる、フランス北部、リエス・ノートル・ダムの大聖堂にある黒いマリア像のものです。この像には、12世紀、現在のイスラエルの辺りで囚われの騎士であった3人の兄弟に天使よりもたらされ、奇跡によってその像とともに北フランスの我が家へ帰還することができたと言う伝説があります。それにより、現在では当地はマリア巡礼の中心地となっています。また、こちらのメダルの片面には3人の騎士の姿が見られます。
3枚目は初聖体拝領を記念したもので、キリストの血と肉を表す葡萄と麦、それに聖杯が浮き彫りにされています。
メダルは黒みを帯び深い陰影をまとい、ジュヌヴィエーブのメダルの摩耗は、幾度か困難に直面した持ち主がその度に守護聖人にすがって触れた跡でしょう。これらは、この美しいロザリオがこれまで経てきた長い時間の証と言うことができます。どうぞお手元で、これからの時をともに紡いではいかがでしょうか。

19世紀から20世紀前半までのフランス製です。
サイズは、チェーン部分の長さが約76センチ、クロスが約3×4.5センチ、チェーンとクロスを繋ぐ部分が約14センチです。
ロザリオにはチェーンを切り離す環がついておりません。こちらはチェーンの部分が長く首にかけることもできると思われますが、お気をつけください。
古いものですので傷、汚れがあります。