トンガリ帽子に太鼓腹のピエロのおじさんがにっこり笑って立っています。後ろにいる相棒のロバさんの背中には、硬貨を滑り込ませるのにちょうどよさそうなスリットがありますが、絶対に入れてはいけません！この人達は頑丈な鋳物でできている上に、ロバさんにはお金を出す所がどこにもありません！よいですね、笑顔に騙されてお金を入れてはいけません。これは貯金箱ではなく置物ですよ。大切なことなので2度言いました。
ロバさんの後ろに穴がありますから、元はそこに棒など立っていて何かの芸など披露していたのかも知れません。今はただの詐欺師ですが。それにしても、このご両人はだいぶ長いこと突っ立っているようで、あちこち剥げたり汚れたり、おじさんの笑顔もだんだん泣き笑いっぽくなってきたし、ロバさんの目にも何とも言えない哀愁が浮かんでいるように見えるのは私だけでしょうか。こうなってくると、古いものの唯一無二の表情はそれだけで価値があります。こう時の流れが降り積もると、見る人によってそこに色々なものが見えるようになるものです。さて、道端に立つ彼らにあなたは何を見るのでしょうか。

20世紀前半までのアメリカ合衆国製で、サイズは台座の直径が約14センチ、おじさんのトンガリ帽子の先までが約19センチです。
ちなみに、昔、騙されたお気の毒な人が入れた硬貨かも知れないものが、ロバさんのお腹の中でカラカラいっていますが、もはや確かめようはありません。
古いものですので剥げや傷、汚れなどがあります。