天使のデスカードとメダイのセット
こちらは二つのメダイをセットにしてご紹介します。まずフランス、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプのマス・リリエにある聖母子像を巡礼したときの記念のもので、聖母子像とマリア様を表す百合の花が表裏に浮き彫りになっています。
もうひとつは「私は天から薔薇の雨を降らせましょう。」死に臨んでそう言い残した聖テレーズのメダイです。
テレーズは早くから修道会への入会を希望し、ローマへの巡礼団に加わったおりには教皇に直訴までしますが、まだ幼いという理由で叶えられず、16歳でついに修道院へ入ることを許され、その時に「幼きイエスのテレーズ」という修道名を受けます。残念ながら身体が弱かった彼女は、24歳で病によって亡くなりますが、死の直前に「私は地上に善を為すために天での時を過ごしましょう。」と言い、さらに続けて前述した「薔薇の雨を降らせる」という言葉を言い残したのです。
死後も彼女が天でとりなしたとされる奇跡が起こり、彼女は聖人に加えられます。病人、弱い者、子どもの守護聖人とされ、ジャンヌ・ダルクに次ぐフランスの守護聖人でもあり、聖テレーズの大聖堂があるリジューは大切な巡礼の地となっています。
こちらの品は、彼女に因んだ薔薇の花と十字架を持つ彼女の姿が表裏に浮き彫りになっています。
合わせたデスカードは1903年に亡くなった女性のもので、マリア様を表す百合は彼女の受難に頭を垂れていますが、彼女自身は花束を授けられて天へと召されて行きます。残された人々の哀悼の心、亡くなった方の人生を讃え天上での安息を願う気持ちが滲み出る絵柄です。
デスカードは1903年、ドイツ製で、サイズは約6.5×10.5センチです。
メダイはそれより少し後のフランス製です。サイズは、聖母子像が直径約1.2センチ、聖テレーズが直径約1センチで、チェーンは現行品で長さが約43センチです。
古いものですのでどちらも傷、汚れがあります。