十字架を胸に棺を抜け出して天へ上る女性の姿が描かれています。纏っている衣服から周囲の石に彫られた葡萄の装飾まで、実に立体感と雰囲気のある仕上がりですが、やはり印象的なものはこの女性の顔でしょう。その顔には薄っすらと笑みらしきものを浮かべ、天を仰ぐ瞳には希望の光すら見えるようです。誰しも死を免れることはできませんが、この表情はそんな私達に何かを語りかけているようで、いつまで見ていても見飽きることはありません。
死を主題にしたカードですが、こちらはお葬式で配られるデスカードではなく、周囲を美しいレース状の紙細工で飾ったホーリーカードです。絵の上には「不死、不滅」を表す文字が記され、絵の下には「私たちの別れも長いことではなく、天国でまた会えるでしょう。」という言葉があります。クリスチャンではなくとも、ひと時、死生観に想いをいたす縁となるカードと言えましょう。

19世紀、フランス、パリ製で、サイズは約8×12.4センチです。
古いものですのでシミや汚れがありますが、時代の割りにはよい状態です。