黒い十字架
1861年、ヴィクトリア女王の夫、プリンス・アルバートが亡くなりました。女王は10年以上に渡り喪に服し、喪服とそのための黒い装飾品を身につけました。宮殿で働く者たちにもその服装をすることを命じ、やがて喪服に合わせるモーニングジュエリーは貴族から庶民へも広まっていったのです。
こちらのお品もモーニングジュエリーの一つで、十字架の上に植物が高々と立体的に盛り上げて置かれています。細かく手の込んだ仕上がりで、黒一色の素材が所々黒光りして深い陰影をまとい、ただ哀悼の気持ちだけではなく、人の死の暗部を覗くような神秘的な雰囲気すら漂わせています。
素材はヴォルカナイトという1842年に考案された天然ゴム由来の樹脂で、ヴィクトリア朝のモーニングジュエリーの素材として多用されたもののひとつです。
19世紀のイギリス製で、サイズは約4.8×7センチ、チェーンは現行品で長さが約43センチです。
古いものですので傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。