聖画の周囲をレース状の透かし細工で飾ったものをカニヴェと申します。修道女などが作り、修道院などで販売して運営の資金にしていたとも言われており、とても精巧で美しい造りには祈りの気持ちも込められていたことでしょう。
こちらは珍しいことに、さらに手が込んでおり、まるで紙芝居のようになっており、そこには神が皆さんに求める慈悲について書かれています。それは実際の人に対する7つの慈悲の行いと、人の心や霊に対する7つの慈悲の行いがあります。
簡単に申しますと、前者が、食べ物を与える、飲み物を与える、衣類を与える、見知らぬ人をもてなす、捕りょを償還する、病人を見舞う、死者を葬る、であり、後者が、教育を施す、よい助言をする、生者と死者のために祈る、苦しむ人を慰める、侮辱に耐える、罪を許す、以上です。
前者については小さいながら精緻で表情豊かな絵も描かれています。
さてそのような生涯を送った方へは報酬として神のみ元へと召されるのです。これもその場面が見事に描かれています。
このように印象的な絵も満載のホーリーカードを、どうぞお手元でごゆっくりとご覧になってください。

19世紀から20世紀初頭のフランス製で、サイズは閉じた状態で約7.8×12センチです。
古いものですのでカニヴェに若干の切れがあり、全体に傷やシミ、汚れがあります。