オパールセントガラスはガラスらしからぬ柔らかな質感で、ぼんやりと青白い佇まいがとても幻想的です。不思議な青の世界に光を含んだ濃淡の霧が湧いているかのようで、そこに光を浴びるとすっと霧が透き通り、お品物によってレモン色、アプリコットなどの遊色を浮かべます。
19世紀の終わりに考案され、特に1930年代まで、アール・ヌーヴォー、アール・デコを通して様々なガラス作家、工房で盛んに使われました。このお品は、工房のサインなどはありませんが1920年代から30年代のアール・デコの時代にフランスで製作されたものと思われます。
うっすらと霜が降りたような艶消しの肌触りですが、青白い色味を全体に薄く均等にまとっている印象で、しっとりと上品な落ち着きを感じさせます。ふっくらとした球体に直線と曲線を巧みに組み合わせた意匠も見事で、光を浴びると、流れるような動きのあるおうとつに沿うようにレモン色から黒みを帯びたオレンジまで、様々な景色が現れます。
素材、フォルム、デザインともに、この時代ならではの素晴らしいお品かと思います。

1920年代から1930年代のフランス製で、サイズは高さが約15センチ、球体の横幅が約8.5センチです。
古いものですので内外に若干の傷や汚れが、また口の付近に小さな欠けがありますが時代の割りにはよい状態です。