ブラッドストーンの印章
印章面は少し光の粒を含んだような深緑に朱を散らしたドラマティックな美しさのブラッドストーンです。そこに彫られた文字はいくつかの点で普通と違います。
まず、通常、印章は押した際に印影が正しい文字になるように鏡文字で彫られますが、こちらは文字が反転しておりませんので、もし印を押すと印影の方が鏡文字になってしまいます。さらにそこには "Egmang" と彫られていますが、英語圏の売主もただ "unusual word" 「珍しい単語」とだけ言ってお手上げのようです。
少し調べてみましたが、例えばウズベク語にこの名前があるようで、他にもアラビア語圏の国にも見られるようでした。もし古い時代のウズベク語ならばキリル文字のはずなのですが、どこか英語圏以外の人がイギリスに暮らして、自分の名前をアルファベットで彫らせたのかもしれません。ひょっとして封蝋の事を知らずに。
もちろん19世紀には多くの国の人々が行き交い、世界の中心のようであったイギリスであり、国際都市ロンドンであったことを考えれば、さほど不思議なことではないのかもしれません。
何れにしてもどこかエキゾチックな香りすら漂う秘密めいた暗号のようで、この煌めく深緑を朱に染めた劇的とも言える美しさの印章に相応しい文字と言えそうです。
製作は19世紀後半から20世紀初頭までのイギリスで、サイズは印章面が約1.5×1.2センチ、持ち手の高さが約2.6センチです。
ブラッドストーンについては買い付け時の情報により、その後、正式な鑑定はしておりません。
古いものですので傷、汚れはありますが、印章面に大きな傷はありません。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。