咲き誇る忘れな草に白い鳩が1羽、その首には "To my Valentine"「大切な人へ」のカードがかけられています。このポストカードは1910年2月14日、今から110年以上前のバレンタインデー当日、マンハッタンに住むある女性に宛ててニューヨークで投函されたものです。裏面は住所と宛名だけで、他にメッセージはありません。白い鳩の首のカードと忘れな草が、届けるべき想いの全てだったのでしょう。
合わせたブローチは綺麗にカットしたクリアなガラスを豪華にセットし、涙型の粒が3つ、着けている方の動きに合わせて優雅に揺れます。その澄んだ煌きは程よくゴージャスでありながらとてもエレガントで、このカードを送られた女性にお似合いではないかなどとイメージしながら選んでみました。
20世紀という新しい時代が始まり、宝石の希少性よりもデザインを重視した装飾品が次々と世に出て、当時の一般の女性たちもそれを広く支持したのです。さて、このカードの女性はどうだったのでしょうか。時空を超えた想像の翼は、この後はどうぞ皆さんで広げてください。

カードは1910年頃のドイツ製で、サイズは約9×14センチです。
ブローチは同時代かもう少し後、20世紀前半までのイギリスあるいはアメリカ製と思われます。サイズは直径が約2.5センチで、涙型の部分を含むと最大約4センチです。
カード、ブローチともに古いものですので傷、汚れがあります。