アール・ヌーヴォーのフォトアルバム
赤茶色の革の装丁に金属の装飾を施したフォトアルバムです。浮き彫りの中央にある首飾りを身につけた女性の顔は女神のものでしょうか。羽根を拡げているようでもあり、何かのシンボルに守られているようでもあります。どこかケルトの女神を思わせるところがあり、神々しく、少し呪術的で、神秘的な雰囲気を感じさせます。四隅の装飾も中央の女性を象徴するような意匠に見えます。
1900年頃、アール・ヌーヴォーの時代のフランスのものですが、金属が長いときの流れを経て古色を帯び、陰影を深めた表情がさらに謎めいた印象を強くしています。
中には写真を差し込む大小の窓がついたページがあり、薔薇とリボンをモチーフにした装飾に縁取られて飾ることができるようになっています。
19世紀に生まれた写真の技術は、その後急速に発達し、この時代は紙に画像を焼き付けた写真が庶民でも手に入るようになっていました。とは言え、誰でもが気軽に撮影できたわけではなく、大切な想い出を生き生きとした像に留めておく写真は、今とは比べ物にならないとても貴重なものだったのでしょう。女神に守られて代々、伝えて行きたいという当時の人々の想いが伝わってくるようです。
少し破れている所もありますが、まだ実用して頂けると思います。大切な写真はもちろん、カード類のコレクションにも素敵ですし、お気に入りの絵を入れて画集としてお使い頂いても素敵だと思います。
サイズは約21×27.5センチ、厚さが約4センチです。中の窓は、小が約5.3×8.2センチ、大が約9.5×12.5センチです。
綴じはばらけてはおりませんが、装丁には切れがあり、中の写真を差し込む部分にも切れている箇所があります。古いものですので、他にも傷や汚れ、若干の変色などがあります。
中に写真は入っておりません。