ロータスのコンポート
靄がぼんやりと集まってできたような脚付きのガラス器です。まずは、そのサテン仕上げの半透明のガラスの青い色彩が見事です。その色味は軽やかでありながら、まるで全体に霞をまとっているような、あるいはほんのりと発光しているような、なんとも幻想的な雰囲気に包まれています。そしてその造形はハスの花をかたどったもので、夢幻の池にぼおっと立ち上がったような姿です。
この素敵なガラス器の色彩は、1920年代、大恐慌時代のアメリカ合衆国に始まります。それまでの豊かな時代は透明度の高いクリスタルガラスがもてはやされていたのですが、多くの人々が失業した暗い時代、こんな時だからこそ日常生活にささやかな色彩をと考えたガラス製造業者がいたのです。そして、クリスタルガラスよりはずっと安価で、素敵な色をまとった製品を世に送り出しました。
こちらは20世紀の初頭にアメリカ合衆国、インディアナ州ダンケルクで操業したインディアナグラス社で作られました。この会社も、20年代、大恐慌時代に始まった流れを受け継ぎ、綺麗な色彩のガラスのテーブルウエアなどを製造していました。その最盛期は1970年代で、その後、21世紀に入って操業を完全に停止しました。
こちらのお品は、まさにその最盛期、1970年代頃に作られたものです。ガラスらしからぬ柔らかな質感、バランスのとれた素晴らしい造形、半透明のため光の加減で濃くも薄くもなるあまりにも美しい色彩をどうぞお楽しみください。
サイズは、高さが約18.5センチ、開口部の直径が約15.5センチです。
古いものですので若干の傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。