グリーンのガラスが美しい脚付きキャンディボックスです。その深く瑞々しい色合いは、春から初夏の森の緑のようです。透明感のあるガラスに巧みに成形されたおうとつが透過する光を複雑に歪め、時には光の粒を宿し、幻想的な景色を見せます。山型の蓋をかぶったフォルムは、どこか古いランプや街灯なども連想させ、その佇まいにはレトロで懐かしい雰囲気が漂っています。
こちらは20世紀の初頭にアメリカ合衆国、インディアナ州ダンケルクで操業したインディアナグラス社で作られました。この会社は、アメリカで親しまれるノンアルコール飲料ルートビアのスタンドで使われるビアマグや一般向けのテーブルウエアなどを製造していました。その最盛期は1970年代で、その後、21世紀に入って操業を完全に停止しました。
このキャンディボックスは、まさにその最盛期、1970年代によく作られた「マウント・ヴァーノン」というシリーズの1点です。そのようなわけで、アメリカ、ミッドセンチュリーの、洗練されたモダンとは違う、どうにも拭い去れない古きよき時代の名残が滲んでくるようなお品になっているのです。
キャンディボックスは読んで字のごとくキャンディを入れておき、訪れたお客様などがそこから自由につまむという容器でした。とても美しいガラス器に楽しいキャンディが詰まっている。その光景を想像するだけで、おおらかでくだけたその時代、その場の空気が今に蘇るようです。

1960年代から1980年代までのアメリカ合衆国製。サイズは、高さが約25センチ、開口部の直径が約9センチです。
古いものですので若干の傷、汚れがあります。