柔らかな艶のある金色の地に植物を浮き彫りにしたロケットペンダントです。生地には繊細な波模様が全体に施されており、表面がただ煌めくのではなく、ペンダントの動きに合わせて濃淡の光の筋が浮かび上がり、その表情に豊かなニュアンスを与えます。メッキよりもずっと層の厚い金張りで、素材の上品な質感がお楽しみいただけます。そこに生き生きとした小花をあしらった意匠は、ゴージャスな中に幼い頃の可憐な面影を垣間見せる立ち居振る舞いといったところでしょうか。
中を開けると、片方には植物を散らした布と金属のリングがあり、反対側にはやはりリングがついています。ここにどなたかの丸く切り抜いた写真を置き、リングで固定したのでしょう。ここにはどんな方の写真が置かれたのか、それにはどのような経緯があったのか、不躾とは思いつつもやはり気になってしまいます。
そして、このアール・ヌーヴォーのエレガントなロケットの持ち主のことも、時空を超えた想像の旅はこのお品をお手元に置かれた方の特権でしょう。

1901年から1910年のエドワード朝のイギリス製で、サイズは直径が約2.4センチ、チェーンは現行品で長さが約43センチです。
古いものですので内外に傷、汚れがあります。