フロストガラスの大皿
丸底に花を散りばめ、そこから直線が放射状に伸び、図式化された植物の葉が置かれています。生命を幾何学的に昇華した意匠、縁取りの直線と花が開くような曲面を組み合わせたどこか神秘的な造形。これは20世紀のふたつの世界大戦の狭間にあったアール・デコの時代のお品です。直径の最大が約36センチとひときわ大振りで、穏やかな陰影を纏った曇りガラスからは深みのある存在感が漂ってきます。
このお品には "Verlux FRANCE" のサインがありますが、これは1909年からパリにあったエドモンド・エトランの美術工芸品店で使われたサブブランド名と言われています。エトランの店で扱うガラス製品はパリの選ばれたガラス工房に発注され、アール・デコの1920年から30年代も多くの製品を世に送り出していました。しかし、このお店は1940年に閉店され、ユダヤ人の家系であったエトランは、第2次世界大戦中に強制収容所で亡くなっています。
そのような顛末を考えれば、このお品はひととき華やいだアール・デコの時代のどこかぼんやりと儚い幻のようにも思われます。
1920年代から30年代のフランス製です。
古いものですので傷、小さな欠け、汚れがあり、製作時からの気泡もあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。